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トリコテイルの想い出

現在進行形で、駒ヶ根市も援助させていただいたポカラ市の母子友好病院スタッフに、日本の助産技術をオンラインでお伝えしている。

 

その中で、フットケアをお伝えしていた中、日本の医療従事者から

「うちのクリニックではホホバオイルを使っていますが、ネパールでは何のオイルを使っていますか?」

という質問があった。

ネパール側から一斉に「トリコテイル」という返事。

「トルコテイルは、何の油なんですか?」

の質問には「あなたのクリニックと同じ名前ですよ」とのこと。

 

トリコテイルとは、菜の花やからし菜のようなアブラナ科の植物の油。

ネパールでは、この油で髪の毛をマッサージしたり、乳幼児の体に塗ったり、分娩中に温めたものを額に塗ったり、体の痛い部分をマッサージしたりするのに用いられている他、食用にも用いられる、いわゆる万能油だ。

ドロリとした茶色で、からしのような臭いがするので、私は肌にも食用にも使わなかった。しかし、このからしの成分が体に塗ると、ホカホカする。

 

ある日本人男性は、ネパール女性と結婚し、毎日この油で腰部をマッサージしてもらっていたら、慢性腰痛が完治したというのだ。彼の腰痛はコルセットを巻くぐらい重症だったので、ちょっと信じられない話である。

 

そして、マッサージ方法も独特である。ある時、友達のDidi(年上の女性)に「腰が痛いからこの油でマッサージしてちょうだい」と頼まれたので、油を塗って指圧しようとしたら「そうじゃないでしょ!」と油をこすり付けるような感じのマッサージを伝授された。

 

しかし、どうも気持ちよくなかったらしく「もういいわ」と言われてしまった。マッサージ技術に自信のあった私としては、ショックだったけれど、指圧というのも中国から来たものだし、マッサージ方法が違って当然だったろう、と回顧している。(By Binu)